思いついたらおうちの近くから。さあ出かけよう。四国の酒蔵88箇所巡礼の旅


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第八十番酒蔵札所  「金陵 八幡蔵(やわたぐら)」
住所: 香川県仲多度郡多度津町葛原1880
TEL: 0877-33-4133
営業時間: 8時〜17時受付。土・日・祝日は休。

「かかってきなさい」

 ここ『金陵八幡蔵』は、金比羅参りの港町である多度津の鬱蒼とした杜の中にある。金比羅宮の御神酒である金陵の大部分はこの『八幡蔵』と隣の『多度津蔵』とで造られる。神社の杜のように蔵を樹木が覆っており、明らかに外界とは異なる神々しい「空気」が漂う。まさに「酒造りは神事である」ということを思い出させてくれる蔵である。
 製造課長の酒井さんは、元全日本利き酒チャンピオンで、今では香川県を代表する杜氏である。明けても暮れても酒、酒、酒のことばかりの忙中のささやかなリフレッシュは、年に一度の蔵開きでのお客様とのふれあいだとまでいうあまりにも優等生の酒井さん。最近は酒造りにとどまらず、瓶詰め行程の責任者も兼任するようになり、「製造工程」だけでなく「製品としての日本酒」にまで視野が拡がったという。こんな仕事人間の酒井さんについて、一時、関係者間で「酒造りに熱中しすぎて家に帰らず、奥さんにあいそをつかされて別居離婚しているらしい」というが噂が流れた。結局はまったくの間違いであったそうなのだが、それを聞いた幹部連中は「おもしろいから、工場内では酒井はバツイチだとしておけ。」と指示を流したそうだ。ここはそんな会社でもある(笑)。
 蔵(製造部門)の最終責任者である山内工場長は、酒井さんの理解者であり本社や販売部門との折衝係でもある。製造課長の酒井さんの理想の酒を如何にして会社の方針と合わせるかが大きな仕事である。特に最近はお客様の嗜好が多様化しており、いろいろなコンセプトの酒を開発しなければならなくなっているが、それらはあくまでも「枝葉」の部分、「幹」としての酒に対するポリシーは昔から変わること無く持ち続けていくバランス感覚が、工場長と製造課長の仕事での要点であると言い切る。
 こんな山内工場長も会社を出たら「一人の酒飲み」。しかし、周りの評判では「ただの酒飲み」ではなく、香川県内の酒類関係者の中でおそらく最強かつ最凶の酒飲みということらしい。他人に強要することはまったくないのだが、うっかりこの人のペースで一緒に飲んでいて前後不覚になった酒類業関係者は数知れず。本人はあっけからんとしているが、もうご相伴は二度とごめんこうむるという人が業界には山ほどいる。 
 剛と剛のこの二人は、近年には珍しい正統派ストロングスタイルのタッグである。

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「近代施設の八幡蔵 」
近代施設の八幡蔵 

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「仕込み水である「八幡の御恩湧」」
仕込み水である「八幡の御恩湧」

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「酒井杜氏(右)と山内工場長(左)のSYブラザース。飲むと「俺たちは誰の挑戦でも受ける」と豪語しているらしい。」
酒井杜氏(右)と山内工場長(左)のSYブラザース。飲むと「俺たちは誰の挑戦でも受ける」と豪語しているらしい。

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「醸造タンク室で何事かを深く反省している酒井杜氏 やっちまったか?」
醸造タンク室で何事かを深く反省している酒井杜氏 やっちまったか?

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「立ち入り厳禁の麹室 ここで納豆を食べてはいけない。」
立ち入り厳禁の麹室 ここで納豆を食べてはいけない。
酒蔵さんから
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その後の朝日山森林公園
2018.06.02

 2008年の2月にこの欄を取材した際に「パッチモン的ディズニーランド」として取り上げた『朝日山森林公園』の10年後の姿を再取材してきました。
(昔の記事については右横の日付で2008年8月の記事に移動してください)
 
 その後、三豊市が管理するようになって再整備されたのか、「ウサギが1羽いるだけの動物天国」や「ニワトリとアヒルだけの小鳥の森」も今はもうなくいかがわしさはやや薄められたものの、あの天守閣はなお悠然とそびえ立っています。確かにここは『麻口城』なる豪族の城跡ですが、城と要っても当時の城とはいわゆる砦のことで、天守閣などもともとあろうはずはなく、これはおそらく、現在の近所の有志が「お城があったらいいのにな」の勢いで建ててしまった「お城の形をした地元文化の資料館」であります。

 果たしてお城の中はというと、蔵をあけてみました的な種々雑多な展示物で一杯ですが、なかなか興味深い地元の農耕生活の民俗学的資料(つまり農機具)にまじって、全国のお城マップと写真(わざわざここで見なくても・・・)とか、地元で捕れたキツネの剥製とか、どこかの家から寄贈されたと思われる昭和の時代の扇風機やラジオ、果ては地元の名士が趣味で造ったらしい「長野、新潟県の白馬岳、戸隠山、妙高山のジオラマ」等々も無造作に飾られていて、普通のお城の内で展示してあるような大名の遺品や武士の鎧や兜などはひとつもありません。

 もちろん入場料を徴収しているわけでないので文句をつける義理でもなく、これらはこれらで、パラダイス的にほほえましい物でもあります。最上階からは西讃の平野部が一望に見渡せます。展望台と言うよりも物見櫓として考えるなら来ても損はないわけです。余談ですが、国土交通省が主催している『四国88景』の公募に、ここを勝手に「幻の浅口城」として推薦してみたのですが、無残にも落選してしまいました。というか、わざわざ東京から視察に見えられた偉い先生方はあきれて帰られたそうです。芸人さんならウケたと思いますが・・・。(笑)
 
 
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「なんだあれは? 麓のいたるところから見える山頂の天守閣らしき建造物。謎の秘密結社のアジト感が漂う。」
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「キッチュ感ぷんぷん漂う『麻口城』天守閣」
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「城内には名古屋城や姫路城、熊本城の写真展示。当城とはなんの関係もない。」
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「北アルプスのジオラマ模型が誇らしげになんの脈絡もなく置いてある。(笑)」
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「最上階からは高瀬平野が一望にできる」
「最上階からは高瀬平野が一望にできる」
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