がねみそ
2008.01.05
広大な汽水域を抱える四万十川下流は、海や川の幸が豊富。手長エビや天然うなぎ等、市内の料理店で食べられるものから、四万十のりやゴリ等、お土産物になっているものまである。でも、地元の人が家庭で何を食べているのかと聞くと、『藤娘酒造』のベテラン蔵人さん達が教えてくれたのが、この「がねみそ」。
地元では「がねみそ」と発音しているが、要するに「かにみそ」のことらしい。34番札所の『高知酒造』の「本日の一言」欄でで紹介した通り、高知県西部では、8月から9月にかけて、海に出て産卵する前のツガニがたくさん獲れる。近所の川にみんなでそれを獲りに行って持ち帰り、生きたまま甲羅だけ取り去り、そのまま殻ごとつぶしてペースト状にし、更に糠を加える。これを鉄板の上でお好み焼き状に焼いていく・・・というもの。これが「がねみそ」。
「こればっかりは、食べてみんと味は分からんぜ」と教えてくれるが、一年にその季節だけ、しかも地元の一般家庭でしか食べられない料理。四万十川の流域開発や地球の気候の変化によってツガニが手に入り難くなる前の今のうちに、機会を見つけて是非食べておきたいメニューの一つであります。