思いついたらおうちの近くから。さあ出かけよう。四国の酒蔵88箇所巡礼の旅


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第七十四番酒蔵札所 「石鎚酒造」
住所: 愛媛県西条市氷見丙402-3
TEL: 0897-57-8000
営業時間: 月曜〜金曜10時〜17時受付。祝日休。要電話予約。

[真面目な家内制の強み]

 西条は、埋め立ての町であり、もともとは海岸線も氷見(ひみ)の近くまで来ていた。氷見は、その名の通り冷え込みの厳しい土地で、その地勢から西条藩の西の玄関に位置する農業と漁業の地区であったらしい。
 『石鎚酒造』は、新居浜から西条へと移ってきた越智家が、庄屋と廻船問屋を営む傍ら、余剰米を用いて1920年にこの氷見の地にて創業した。水はもちろん石鎚山の伏流水。「打ち抜き」と言って、西条では地中にパイプを打ち込むとどこからでも良質な水が湧き出る。米と清涼な気温と良質な水。氷見には酒造りに必要な要素が全て揃っていたのである。

 専務の越智浩さんは、4代目37歳。米蒸し担当で3代目のお父上、麹担当の弟さん、酵母開発担当の奥様と、家族で蔵を盛り上げている。絵に描いたような昔ながらの家族経営だが、実はこれは近代的。酒造りの根幹となる部分を、身内がきっちりと管理責任を分担して受け持っている。これほど頼もしくて安心出来る体制もあるまい。専務自身は発酵と行程管理に集中出来る。それ故、生産量の大部分は、所謂「品質本意の付加価値酒」であり、それを安定して生産出来る力のある蔵である。

 今はバリバリの酒造家である越智専務も、子供の頃は酒蔵の仕事の辛さを身を以って叩き込まれ、一時は「酒蔵は継がずに作家になろう」と考えていたという。大学は東京農大であるが、これも東京に出たいが為の口実である。酒蔵の跡継ぎは推薦で入学出来るのだ。ただ、遊ぶ為に入った農大でひょんなことから「大吟醸」に魅せられ、そこで人生の師を得たことがターニングポイントとなった。卒業後、恩師の薦めで「売り」を勉強する為、地酒専門の問屋で5年間修行し、恩師の取り計らいで無事退社し平成9年に実家に戻った。

 妥協が嫌いで「酒造りはお客様の為」を信念に、仕事では酒と和食を研究。厳しい一面を持つ反面、プライベートではラーメンの食べ歩きを趣味とし、たまの休みには野球少年である二人の息子のキャッチボールの相手に頭を悩ます、明るいお父さんでもある。



 

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「氷見から西条市内を遥かに望む」
氷見から西条市内を遥かに望む

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「石鎚山の登山口への途上にある」
石鎚山の登山口への途上にある

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「お父上である社長(左)と越智専務」
お父上である社長(左)と越智専務

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「商品開発室でバイオのお仕事をされる奥様の後姿(失礼)」
商品開発室でバイオのお仕事をされる奥様の後姿(失礼)
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山登りの湯
2008.02.23

 『石鎚酒造』より山に向って車で30分程走ると、石鎚山ロープウェイ登山口に至る。冬場で山は開いていないが、駐車場は一杯。恐らく登山客とスキー客であろう。

 ここの一角に老舗旅館の『京屋』がある。最近、息子さんがここから少し離れたところに「新館」として新しい温泉宿を建てたらしいが、態々ここから湯を運搬するなど、ちょっと「作り物」的な感じが漂う。やはりこういった昔ながらの鄙びた温泉の方が自然に調和しているようである。

 それらしい入り口があるが、そちらは常時閉まってていて、その横の食堂から出入りするようになっている。聞くと宿泊客以外の一般客には土日だけ湯を解放しているという。入湯代300円、タオルを買っても200円。皆さん殆ど「新館」に行っているらしく、土曜というのに湯殿は貸し切り状態。湯船と言っても2〜3人で一杯になる小振りな造りである。お湯は湯の花が舞うほどの全くの乳白色。専門家ではないので効き目は不明だが、結構疲れがとれたところをみると、湯質は良いのではないかと思われる。
 
 通常は宿泊客専用らしいが、この場所での宿泊と言えば登山客ということになるのだろう。西日本一の高峰(1982m)、石鎚山の登山口にある、まさに第一次キャンプの温泉である。



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「2月なので雪が残る」
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「入り口・・・だがいつもは閉まっている この左手の食堂がフロント(笑)」
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「恐らく3人で一杯の湯船 真っ白いお湯が溢れ出ている」
「恐らく3人で一杯の湯船 真っ白いお湯が溢れ出ている」
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山登りの湯 2008.02.23
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