思いついたらおうちの近くから。さあ出かけよう。四国の酒蔵88箇所巡礼の旅


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第五十七番酒蔵札所 「千代の亀 亀岡酒造」 
住所: 愛媛県喜多郡内子町平岡1592-1
TEL: 0893-44-2201
営業時間: 平日9時〜16時受付。

[40の手習い]

 五十崎町は高知から大洲に向かう街道の要諦。松山からは山を隔てて南予の地域に入ったところである。よって大洲藩の管轄。昔から米作と特産のロウミツ作りの土地である。和紙の産地でもあり、それだけに水は清い。『亀岡酒造』も、『岡森神社』の竹林に湧く肱川系の伏流水で仕込み水を汲む。

 製造責任者の二宮さんは現在52歳。40歳代の頃、知人であった先代の杜氏さんから突如として仕事を引き継ぎされ、否応なしにこの業界に引きずり込まれた。それまでは酒造りとは全く関係のない業界からの転身で、最初は右も左も分からず大変だったが、ここに至り、ようやく酒造りの奥底が垣間見えるようになってきたという。しかし、心掛けは今でも「毎年謙虚に1年生のつもりで」。40歳代で初心者として酒造りに取り組み、「先代に追いつけ、追い越せ」と走り続けてきた二宮さんの苦労が偲ばれる。

 二宮さんによると、難しいのは「辛抱」。「自然」は黙っていても「自然」なりに酒を発酵させることが出来る。大切なのは、どの時点で「人」の手を入れるのか・・・の見極め。理想は、「辛抱」を重ね、最後まで「人」の手を入れない酒。

 休みの日には、佐田岬に足を延ばし、波止場で釣りに興じて一人で過ごす時間を楽しむ。その一方で、20年間に亘って、地域の人々に少林寺拳法を教えてきた。それだけに、「人に教えること」と「人から教わること」の難しさはよく分かっているつもり。また、「教わること」に年齢は関係ないことも、よく分かっていらっしゃる。

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「蔵近くを流れる小田川 肱川の支流」
蔵近くを流れる小田川 肱川の支流

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「山間の農村に佇む(たたずむ)蔵」
山間の農村に佇む(たたずむ)蔵

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「二宮さん 姿勢を正して話してくれました」
二宮さん 姿勢を正して話してくれました
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内子五十崎の田楽
2008.01.20

 四国の山間部には広く『田楽』を食べる風習がある。『田楽』とは、いわゆる「味噌田楽」のことで、豆腐に味噌を塗って串にさして炙って食べる、農村ならではの料理である。ヘルシーなイメージもあり、最近は都会でも専門店がチラホラ出来ているようだ。ただ、山深い四国では、上品な豆腐と言うよりも、野趣溢れる里芋やこんにゃくを使用して、囲炉裏の周りに刺して焼くことが多い。祖谷の『でこまわし』などが良い例である。

 二宮さんによると、ここ五十崎地区の『田楽』は、四国では珍しく豆腐以外は一切使わないとのことである。味噌は、いりこを潰して混ぜる特製。4月頃の祭事の時期を中心として、各家庭で作るらしい。今でも毎日の家庭料理の主菜として普通に食べられている料理。

 内子・五十崎・大洲と言えば伊予の小京都として知られる風情豊かな町。
『田楽』一つをとってみてもどこか都を連想させる、上品さが漂う町である。

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