[みんなでやろうぜ]
『成龍酒造』の在るこの辺りは「周布(しゅう)」と呼ばれ、春夏は温暖で少雨、反対に冬は寒くて雪も降る。また、小松に四国コカコーラ工場、西条にアサヒビール工場と、大規模な飲料工場が集まっている地域。それだけ石鎚からの伏流水の仕込み水が良質であるということであろう。
蔵元の当主・首藤家は、元々が庄屋の米を預かる倉庫業を営んでいた。それだけ地域で信用があったということであろう。明治10年に酒造業を始めて次期当主の首藤さん(40歳)で7代目となる。 若い当主の首藤常務も、ご他聞に漏れず、誰に言われるまでもなく自然と「跡取りのプレッシャー」を感じて育ったということである。ところが、大学は敢えて東京農大を選ばずに山口大の経済学部に進学、就職も酒造メーカーではなく東京の大手流通問屋に決めた。「我ながら往生際は悪い方です。」と笑っているが、あらかじめ定められたレールの上をただ走ることをよしとしない性格が新しい日本酒蔵の時代を自ら切り開いている今の姿からも垣間見られる。
古来伝統の酒蔵といえば、当主と杜氏の方向があえば、あとは蔵人が奉公人として酒造りに勤しむというスタイルが主であったが、首藤さんは「チーム」としての酒蔵を目指している。杜氏の織田さん、弟でもとやの敏孝さん他、歳の近い5人の仲間で蔵を運営している。その姿はバスケのチームやジャニーズのグループとなんとなく重なる。 皆で造りたいのはは「難しい顔して試飲する酒よりも、ついつい飲んでしまう酒」、「まずは地元の皆さんが気に入ってくれる酒」であるという。我々の年代のように何事にもやたら熱く語るのではなく、若い人らしく肩ひじ張らず自然体で話してくれる。さらに「これからは、地域の皆さんと共にこの『周布』をいろんな人に知ってもらいたい。そのために酒蔵としても発信したい」というようなことを普段着の言葉でしゃべる。
ちなみに子供の頃は剣道少年だった首藤さん。今は小学生から生まれたばかりの2男1女のお父さんでもある。若い時はスノーボードやぶらりドライブの旅が好きだったが、今の趣味は子供たちと竹刀を振ったり、一緒に石鎚山に登ったりという、よきパパぶりである。「子供を慈しんで育てる感覚は酒造りと共通するものがあります。」という言葉も彼が言うと、まったく耳に逆らわない不思議な男である。
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「高縄山系の裾野の周布の遠景 」
高縄山系の裾野の周布の遠景
「蔵正面」
蔵正面
「訪問客にお茶をご接待する蔵の玄関の間」
訪問客にお茶をご接待する蔵の玄関の間
「7代目首藤さん 黙って座れば俳優の阿部寛といったところ」
7代目首藤さん 黙って座れば俳優の阿部寛といったところ
「これぞ成龍五人男?ゴレンジャー?はたまたSmap?いや、ももクロ+1?(笑)」
これぞ成龍五人男?ゴレンジャー?はたまたSmap?いや、ももクロ+1?(笑)
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