阿南のサグラダファミリア
2008.03.02
阿南の人はみんな知っているが、阿南以外の人は誰も知らない・・・と言うよりも、まずは気がつかないであろう秘密の花園。幻の喫茶店『大菩薩峠』。
阿南市の中心部を抜け、更に橘湾を越えて南進する。国道55号線も阿波福井に近づいた辺りに、「それ」がある。看板とかノボリとかは一切ない。失礼ではあるが初めての人にはどう見ても廃屋にしか見えない。むしろ目印は手前に立つ「安全運転車間距離」の立て看板。これでは流しのお客さんは100%立ち寄ることはあるまい。秘密クラブのような営業状態である。(涙)
駐車場というか店の前の空地に車を停めて、建物を伺うと「営業中」という立て札が目立たぬように立ててある。レンガ造りの、如何にも・・・といったらせん階段を上ると、ひと周りで鉄製の門扉に「1971」と彫られた入り口に着く。どうやらオープンは約40年前であるらしい。扉から店内に入らずに更に進むと中庭に出る。そこには、およそ建設中という言葉からは懸け離れた、野晒しにされたままの半壊の建物が建ち並び、その周りに資材らしきコンクリートや石が乱雑に散らかっている。
「阿南のサグラダ・ファミリア」の異名どおり、ここはオーナーが開店してから自らの手で増築を重ね、40年を経た今でも完成しない喫茶店である。店内は撮影禁止であるが、どうやら中世のスペインのお城をイメージしているようである。構造も店内の造作も凝りに凝っていて、お手洗いなどは「トイレ」と書かれた扉を開けてから便器に辿り着くまで、まるでショッカーのアジトを探検しているみたいな体験ができる。(笑)
ただ、メニューも接客も、喫茶店としては至極まともに営業している。カレー(サラダ付き)550円も結構美味しかった。雰囲気は異様ではあるが悪くはないし、なんできちんと看板をつけて営業しないのかが、まず以って不明。ホールの店長らしき女性に声を掛けると、やや引き気味に答えてくれたが、その態度からは「こんな怪しい喫茶店のオーナーじゃなくて、ただの従業員ですから!」という困惑がアリアリと見て取れた(笑)。よく分からないが、オーナーは農業に従事している方らしい。増築に関しては、「オーナーの気が向いたとき」に作業をしているらしいが、最近はあまり見かけないとのこと。う〜ん、謎は益々深まるし、なかなかイケテルねぇ。次来るときは、ぜひともみんなで仮面ライダーのコスプレして押し入りたい!(笑)
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「看板類は一切ない。位置を確認しておかないと、まず分からない。」
「看板類は一切ない。位置を確認しておかないと、まず分からない。」
「近づいて、やっと確認できる入り口」
「近づいて、やっと確認できる入り口」
「裏手はまだ工事(製作)中 なぜか郵便ポスト(手前左)も。どこから持ってきたのか?」
「裏手はまだ工事(製作)中 なぜか郵便ポスト(手前左)も。どこから持ってきたのか?」
「放置された材料」
「放置された材料」
「これはファサードの一部でしかない。手前の観光バスは隣のガススタンドで給油しているだけで無関係(笑)。」
「これはファサードの一部でしかない。手前の観光バスは隣のガススタンドで給油しているだけで無関係(笑)。」
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