思いついたらおうちの近くから。さあ出かけよう。四国の酒蔵88箇所巡礼の旅


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第五十六番酒蔵札所 「養老酒造」
住所: 愛媛県大洲市肱川町山鳥坂49
TEL: 0893-34-2352
営業時間: 平日のみ受付。土・日・祝日休。現在、2018年の西日本豪雨災害で被災され復旧に努力されています。

[肱川に生きる]

 大洲から肱川を遡上すること20Kmの山中に位置する鹿野川地区。ここに、近辺の蔵を統合して『養老酒造』が創業したのは大正10年のことである。シイタケと栗とで有名な鹿野川も、昔はこの蔵と1軒の医院だけという閑散とした地区であったが、昭和33年に鹿野川ダムが竣工した際、付近の山間部から工事に関わる人々が集まり、今の集落をなしたという。
 水はもちろん肱川の伏流水。山中ゆえ、仕込みの時期の蔵の中の平均気温は摂氏5度。温暖な伊予の中では寒冷な地にある。

 3代目の川北社長は生まれも育ちもこの鹿野川。子供の頃は蔵に集まる酔っ払いの姿を見て、家業ながらこの仕事を継ぐのは嫌だったと言う。それもあってか大学での専攻は経済学部。3年生のとき、他業種に就職も考えたが、迷った末にやはり「どうせやるなら、どこかの組織に属するよりも、自分の責任に於いて自分の力で出来ることをやろう」と、家業の酒造りに自分の道を見出した。家業を継いでからは、自分の責任に於いて自分の出来る精一杯の力を尽くして酒を造ってきた。「酒は生き物。嫁さんや子供のように手を抜くことが出来ません。」と笑う。
そのご家族はテニス一家。単にテニス好きどころかいろいろな公式の大会で賞をもぎとっている。
酒造りも家族みんなで行う仕事のやりとり。ラリーのように果てしなく続いてこそ良い酒が醸し出される。
 2018年の夏、この鹿野川ダムの許容能力を超えた想定外の豪雨により、蔵の真下を流れる肱川が大氾濫した。いわゆる「平成30年西日本豪雨災害」である。不幸中の幸いで大きなお怪我はなかったものの、蔵の設備はすっかり流されてしまった。町全体が途方に暮れていた中、養老酒造はいち早く再建にいそしんでいる。肱川に生まれ肱川で育った蔵である。これからも肱川と共にたくましく生きていくことを願ってやまない。がんばれ。

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「近くを流れる肱川」
近くを流れる肱川

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「モダンな建物の蔵」
モダンな建物の蔵

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「蔵正面」
蔵正面

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「川北社長」
川北社長
酒蔵さんから
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近くの穴場情報
これぞ 鄙びた温泉
2008.02.09

 川北社長によると、鹿野川の温泉は上質なので有名ということ。と言っても主に2軒しかないのだが。

 その一つが、酒蔵より山中に車で10分の『小藪温泉(おやぶおんせん)』。ここは、数ある四国の温泉の中でも「鄙びた風情度」は恐らくトップであろう。大正時代の造りをそのまま残す温泉宿である。私も一度、家族を連れて泊まったことがあるが、それはそれは鄙びていて、一部床が抜けそうな程である(笑)。さしずめスランプの小説家が篭るような・・・接客も家族的で差し出がましくなく、何日にも亘ってゆっくり湯治が出来るような、そんな優しい雰囲気の温泉である。私が泊まった時は、運悪く隣室の数人のグループが夜遅くまで宴会に嵩じており、賑やか過ぎて大変だったが(涙)。いずれにしても、また行きたい温泉である。

 もう一つ、蔵から上流へ5分のところにある『鹿野川荘』は、観光客ならぬ地元に人気の温泉施設である。風情では『小藪温泉』に敵わないが、飛び込みの個人でも家族でも、いつでも誰でもが気楽に入浴出来るといった使い易さが人気の秘密のようだ。ちなみに湯元は『小藪温泉』と同じとのこと。

 大洲から車で40分。この辺りは、四国に住んでいてもまず用事のない地区である。せっかくここまで来たのなら、一休みしてお湯に浸かってもまずバチはあたらないから、是非お試しあれ。
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「『小藪温泉』」
「『小藪温泉』」 クリックすると拡大します
「『鹿野川荘』」
「『鹿野川荘』」
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