思いついたらおうちの近くから。さあ出かけよう。四国の酒蔵88箇所巡礼の旅


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第四十二番酒蔵札所 「無手無冠」
住所: 高知県高岡郡四万十町大正452
TEL: 0880-27-0316
営業時間: 平日8時〜17時受付。

[沈下橋の町から]

 『栗焼酎ダバダ火振』で全国的に有名な酒蔵『無手無冠(むてむか)』が育った大正町は四万十川を抱く山間の町である。この辺りは沈下橋も多く川の風景も四万十らしい。大正駅からはトロッコ列車も出ている。都会から見ると、一見豊かそうに見えるが、実は過疎化に悩まされている地区でもあり、最近は創業者が当地出身という縁で海洋堂のホビー館やかっぱ館等で一世風靡を仕掛けている。

 同志社大学アメリカンフットボール部のOBであった先代の山本会長は、高知県でも東部の安芸の出身であったが、当蔵の娘である奥様(この奥様も土佐では有名な女傑の一人で四万十町の地域振興に東奔西走している)と結ばれて酒蔵を継いだ。それ以来、従来のやり方をリセットし自分独自のポリシーを形作ってきた。目指すは「米による地域興し」。地元の原料を使い地元の人の手で生産する。大ヒットした『ダバダ火振』も地元の産物を活かすというコンセプトで開発したものであり前出の河童館開設の功労者でもある。

 会長亡き後、後を継いだのが、この有名な会長と有名な奥様の間に生まれた山本勘助社長である。どこかで聞いたことのあるこれまた有名な名前であるが、かの武田信玄とは一切関係ないので、『風林火山』という名前のお酒は出しているわけではない(笑)。

 山本社長は男4人兄弟の3番目。特に抜擢されたというわけではなく、残りの兄弟は優秀で早くに立派な仕事に就いていて、自分は行き遅れただけですと屈託なく笑う。学校の関係で高知市で育ち、最初は建築関係の仕事をしていたのだが、先代の父親の体調で家業に呼び戻されるという酒蔵にはよくあるコースで後を継いだ。先代の病の進行により3年前には実質交代して、蔵を切り盛りしている。父や母の志を継ぎ「地元の原料で」「地元の発展のために」「地元の人に愛される酒を造る」ことを生きがいに決めたという。
 地元四万十町(大正・十和・窪川)のために、父上の情熱と母上の志を継いで四万十流の泥臭い「風林火山」を打ち立ててもらえればと思う。

 あ、本人も公開OKなので、この際ですが、実はバツイチで「いい人いたらよろしく」とのこと。現在46歳(2018年時点)、酒蔵の記事じゃなくて本人の釣書みたいなってしまったが、気になる人は三番目の写真をクリック拡大してくれい。(笑)

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「いろいろな沈下橋が残る大正町」
いろいろな沈下橋が残る大正町

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「大正町の本通りにある蔵」
大正町の本通りにある蔵

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「代替わりした山本勘助社長」
代替わりした山本勘助社長

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「併設の小売場では高知県全域の酒を売っている」
併設の小売場では高知県全域の酒を売っている
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酷道439 (こくどうよさく)
2008.02.14

 大正町の『無手無冠』から四万十市の『藤娘酒造』に向かう。国道で一本道、約35km、普通の運転なら1時間弱で到着。でも皆さん、これから60分、あなたの目はあなたの体をはなれて、この不思議な時間へと入っていくのです。

 まず国道439号線とは、徳島市から四国を対角線で横断して四万十市に届く総延長340kmの、四国では最長の国道である。同時にここは『国道439』ではなく『酷道与作』として全国的に有名。最近、『日本3大酷道』の一つに指定されたようだ。

 その西の端の難所『杓子峠』がこの区間にある。まずは『無手無冠』さんを出発してすぐに439号に合流。走行3分で車線は速やかに往復一車線となる。そして、このままこれから『杓子峠』を越える17km区間は対向車が交差出来ない道が続く。さすがにダートはないものの、写真のように「ガードレールは無い!」ので対向車が来たら命がけ。 でもうまくしたもので、この17km区間で出遭った車は所要45分間で3台だけ。・・・っていうのも「国道」にしたら異常でしょ?交差するのが夜間だったら確実に脱輪・遭難です。

 『杓子峠』を走破したらあとの18kmは立派な一般道が四万十市内まで続きます。それでもこの『無手無冠』〜『藤娘』間35kmの区間で信号らしきものはわずか3機でした。
 
 出来れば『JR四国予土線』と『土佐くろしお鉄道』とで行きましょう。どうしても車で行きたい人でも、引き返して56号線を走った方が結果的には近道です。私のように、悪路大好き、「国道」の真ん中で昼寝している野生の鹿の親子に出会う(これも国道439です)のに感動する・・・なんて変な趣味の人だけが通ってもよい道です。
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「いきなり看板  国道です。念のため。」
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「一応、国道の標識が」
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「とうてい交差が無理な道が延々と続く」
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「あると思うなガードレール」
「あると思うなガードレール」
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